1966.11.11 Friday
年賀はがき狂奏曲
原潜の事故について報道がありました。
「米原子力潜艦ノーチラスが衝突」
(毎日新聞昭和41年11月11日夕刊2面)
「【ノーフォーク(米バージニア州)十日UPI】米海軍が十日明らかにしたところによると、世界初の原子力潜水艦ノーチラス号は同日午前九時四十五分(日本時間午後九時四十五分)ノース・カロライナ州モアヘッド市東方五百八十キロの大西洋で潜航、対潜水艦戦演習に参加中、空母エセックス号(二万七千トン)と衝突、乗組員一人が軽傷(腕に骨折の疑い)を負った。ノーチラス号は展望塔に大きな損害を受けたがエセックス号に損害はなかった模様。」
比較的軽微な事故だったようです。しかし、実用化されて十数年、いまだに秘密のベールに隠されている原子力潜水艦ですから、ほんとうはもっと深刻な事故が起こっているのかも。ソ連製なんてヤバい事故も陰で起こっているんじゃないでしょうか?
新聞斜め読み
「連日の紅衛兵接見 毛主席」
(毎日新聞昭和41年11月11日夕刊2面)
「【北京十一日高田特派員】毛沢東中国共産党主席は十一日、前日にひきつづき全国から北京に集まった紅衛兵を「接見」した。これは八月十八日以来、八回目の「接見」だが、こんどは十月十八日の五回目のやり方---紅衛兵を天安門広場から飛行場に向かう大通りの両側に並ばせて、毛主席以下の指導者がオーブン・カーで「閲兵」する---がとられた。
北京では十二日にも「接見」が行なわれるうわさもある。」
前回は紅衛兵をトラックに乗せてましたが、今度は逆に毛主席が車にのって移動。いろんなやり方を試していますねぇ。いっそのこと毛主席は車にのり、紅衛兵がトラックにのってお互いに対向車線をすれ違いさせれば閲兵もあっという間に終わって効率的でしょうに。
「年賀はがき 値上げ気にせず 徹夜組も出現 でも「寄付つき」は敬遠」
(日本経済新聞昭和41年11月11日夕刊7面)
「ことしもあと五十日あまりとなった十一日朝、全国各郵便局の窓口で郵政省のお年玉つき年賀はがきの売り出しがいっせいに始まった。発売枚数は全国で十三億枚。
東京駅前の東京中央郵便局正面玄関では前夜の午後十一時、大学生四人組が一番乗り。電車が動き出すとあたふた駆けつけるサラリーマンやオフィスガールがあとを断たず、売り出し開始の午前八時には千五百人ほどが三百メートルの長い列をつくった。季節はずれの暖かい日が続いているといっても夜明けの冷え込みはやはりきびしく路上に立ち続ける人たちはコートのエリを立ててブルブル。局員も昨年以上の出だしに「八時前の行列組は一人四千枚、以後半分」の枚数制限をあわててアナウンス。
しかし昨年四円と五円のはがきは五分五分の売れ行きだったがことしはさすがに七円のものが圧倒的に人気があった。
郵政省の調べでは、この日は午前十時現在全国主要郵便局三十五局で、七千三百万枚のうち、四五%にあたる三千三百三十万枚が売られた。売れ行きぐあいは昨年なみ。東京中央郵便局では七円はがきが六百十万枚(売りさばき率六七%)、八円はがき二百二十万枚(二七%)と寄付金つきの方は売れ行きが相当悪い。また大阪中央郵便局では、この傾向がさらに強く七円二百五十万枚(八九%)、八円五十万枚(一七%)となっている。」
今年の7月1日に五円から七円に値上げになったハガキですが、年賀ハガキは相変わらず人気がありますな。『一人四千枚』の販売制限とのことですが、制限枚数が多いような。個人使用でなく、会社から顧客に配布するのに使うのでしょうか?あるいは図柄を印刷して転売するのかもしれませんな。一円の寄付で特に大阪の八円ハガキの売上げが極端に落ちているのが面白い。県民性・府民性ってやつですか。
「43年にはやめたい 年賀はがき 郵政相語る」
(日本経済新聞昭和41年11月11日夕刊7面)
「新谷郵政相は十一日、閣議後の記者会見で「お年玉つき年賀はがきはこの際、できれは廃止する方向で再検討する必要がある」と語った。
ここ数年の年賀はがき売り出し状況をみると、前の日から泊まり込みで行列をつくるなど異常な状態が続いているだけでなく賞品が国民にどの程度喜ばれているか疑問があるなどの点から、新谷郵政相は「私としてはできれば四十三年からでも廃止したい気持ちだ」と語ったもの。」
あまりの年賀はがき人気に恐れをなしたのか、郵政相からこんな言葉が。"年のはじめの運だめし"でお年玉はがきに人気が出るのも分かりますが、あんまり混乱が続くようなら止めるのも手でしょうね。
今日の殺伐
「"ふとんむし"で死なせ 女子二人に罪きせる 和歌山 慰安旅行の農協捜査」
(読売新聞昭和41年11月11日朝刊1面)
「【湯浅=和歌山県】農協職員が慰安旅行先の温泉旅館で悪ふざけのすえ、女子職員をふとんむしにして死なせ若い女子職員だけに罪をかぶせていた事件があり、和歌山県湯浅署で十一日から再捜査する。
同県有田郡金屋町農協のT経済課長(五一)ら職員二十九人(うち女子十八人)は、さる四日、一泊二日の慰安旅行で岐阜県下呂温泉「K旅館」へ出かけた。宴会のあとの同日午後十一時ごろから女子職員たちの部屋で"ふとんむし遊び"が始まったが、同農協石垣支所金融係、M子さん(三六)が、強く押さえつけられて首の骨を折り、近くの温泉病院へ収容された。
翌五日、病院から連絡をうけた岐阜県萩原署は"ふとんむし遊び"に加わった者に出頭を求めたが、出頭したのはA子さん(二○)とB子さん(一八)の二人だけで「二人でやった」と供述。一方、M子さんは容体が悪化して十日午前七時ごろ死亡した。
事態を重視したK組合長が、T課長はじめA子さんらに事情をきいた結果、ふとんむしに加わったことを認めたのが二人だけだったため、T課長が「二人だけでやったことにしてほしい」と頼んだこと、当時は豆電球だけで暗く、顔ははっきりしなかったが男子職員もまじえた五、六人で、ふとんむしにしたM子さんを押えつけたこともわかった。このため萩原署から連絡をうけた湯浅署も、過失致死事件として改めて捜査することになり、十一日朝から関係者の取り調べを始める」
男性職員には家族も子供あるんだ、だから君たち女の子だけで罪を被ってくれないか---みたいな言葉で説得したんでしょうか。後味の悪いイヤな事件ですね。
「米原子力潜艦ノーチラスが衝突」
(毎日新聞昭和41年11月11日夕刊2面)
「【ノーフォーク(米バージニア州)十日UPI】米海軍が十日明らかにしたところによると、世界初の原子力潜水艦ノーチラス号は同日午前九時四十五分(日本時間午後九時四十五分)ノース・カロライナ州モアヘッド市東方五百八十キロの大西洋で潜航、対潜水艦戦演習に参加中、空母エセックス号(二万七千トン)と衝突、乗組員一人が軽傷(腕に骨折の疑い)を負った。ノーチラス号は展望塔に大きな損害を受けたがエセックス号に損害はなかった模様。」
比較的軽微な事故だったようです。しかし、実用化されて十数年、いまだに秘密のベールに隠されている原子力潜水艦ですから、ほんとうはもっと深刻な事故が起こっているのかも。ソ連製なんてヤバい事故も陰で起こっているんじゃないでしょうか?
新聞斜め読み
「連日の紅衛兵接見 毛主席」
(毎日新聞昭和41年11月11日夕刊2面)
「【北京十一日高田特派員】毛沢東中国共産党主席は十一日、前日にひきつづき全国から北京に集まった紅衛兵を「接見」した。これは八月十八日以来、八回目の「接見」だが、こんどは十月十八日の五回目のやり方---紅衛兵を天安門広場から飛行場に向かう大通りの両側に並ばせて、毛主席以下の指導者がオーブン・カーで「閲兵」する---がとられた。
北京では十二日にも「接見」が行なわれるうわさもある。」
前回は紅衛兵をトラックに乗せてましたが、今度は逆に毛主席が車にのって移動。いろんなやり方を試していますねぇ。いっそのこと毛主席は車にのり、紅衛兵がトラックにのってお互いに対向車線をすれ違いさせれば閲兵もあっという間に終わって効率的でしょうに。
「年賀はがき 値上げ気にせず 徹夜組も出現 でも「寄付つき」は敬遠」
(日本経済新聞昭和41年11月11日夕刊7面)
「ことしもあと五十日あまりとなった十一日朝、全国各郵便局の窓口で郵政省のお年玉つき年賀はがきの売り出しがいっせいに始まった。発売枚数は全国で十三億枚。
東京駅前の東京中央郵便局正面玄関では前夜の午後十一時、大学生四人組が一番乗り。電車が動き出すとあたふた駆けつけるサラリーマンやオフィスガールがあとを断たず、売り出し開始の午前八時には千五百人ほどが三百メートルの長い列をつくった。季節はずれの暖かい日が続いているといっても夜明けの冷え込みはやはりきびしく路上に立ち続ける人たちはコートのエリを立ててブルブル。局員も昨年以上の出だしに「八時前の行列組は一人四千枚、以後半分」の枚数制限をあわててアナウンス。
しかし昨年四円と五円のはがきは五分五分の売れ行きだったがことしはさすがに七円のものが圧倒的に人気があった。
郵政省の調べでは、この日は午前十時現在全国主要郵便局三十五局で、七千三百万枚のうち、四五%にあたる三千三百三十万枚が売られた。売れ行きぐあいは昨年なみ。東京中央郵便局では七円はがきが六百十万枚(売りさばき率六七%)、八円はがき二百二十万枚(二七%)と寄付金つきの方は売れ行きが相当悪い。また大阪中央郵便局では、この傾向がさらに強く七円二百五十万枚(八九%)、八円五十万枚(一七%)となっている。」
今年の7月1日に五円から七円に値上げになったハガキですが、年賀ハガキは相変わらず人気がありますな。『一人四千枚』の販売制限とのことですが、制限枚数が多いような。個人使用でなく、会社から顧客に配布するのに使うのでしょうか?あるいは図柄を印刷して転売するのかもしれませんな。一円の寄付で特に大阪の八円ハガキの売上げが極端に落ちているのが面白い。県民性・府民性ってやつですか。
「43年にはやめたい 年賀はがき 郵政相語る」
(日本経済新聞昭和41年11月11日夕刊7面)
「新谷郵政相は十一日、閣議後の記者会見で「お年玉つき年賀はがきはこの際、できれは廃止する方向で再検討する必要がある」と語った。
ここ数年の年賀はがき売り出し状況をみると、前の日から泊まり込みで行列をつくるなど異常な状態が続いているだけでなく賞品が国民にどの程度喜ばれているか疑問があるなどの点から、新谷郵政相は「私としてはできれば四十三年からでも廃止したい気持ちだ」と語ったもの。」
あまりの年賀はがき人気に恐れをなしたのか、郵政相からこんな言葉が。"年のはじめの運だめし"でお年玉はがきに人気が出るのも分かりますが、あんまり混乱が続くようなら止めるのも手でしょうね。
今日の殺伐
「"ふとんむし"で死なせ 女子二人に罪きせる 和歌山 慰安旅行の農協捜査」
(読売新聞昭和41年11月11日朝刊1面)
「【湯浅=和歌山県】農協職員が慰安旅行先の温泉旅館で悪ふざけのすえ、女子職員をふとんむしにして死なせ若い女子職員だけに罪をかぶせていた事件があり、和歌山県湯浅署で十一日から再捜査する。
同県有田郡金屋町農協のT経済課長(五一)ら職員二十九人(うち女子十八人)は、さる四日、一泊二日の慰安旅行で岐阜県下呂温泉「K旅館」へ出かけた。宴会のあとの同日午後十一時ごろから女子職員たちの部屋で"ふとんむし遊び"が始まったが、同農協石垣支所金融係、M子さん(三六)が、強く押さえつけられて首の骨を折り、近くの温泉病院へ収容された。
翌五日、病院から連絡をうけた岐阜県萩原署は"ふとんむし遊び"に加わった者に出頭を求めたが、出頭したのはA子さん(二○)とB子さん(一八)の二人だけで「二人でやった」と供述。一方、M子さんは容体が悪化して十日午前七時ごろ死亡した。
事態を重視したK組合長が、T課長はじめA子さんらに事情をきいた結果、ふとんむしに加わったことを認めたのが二人だけだったため、T課長が「二人だけでやったことにしてほしい」と頼んだこと、当時は豆電球だけで暗く、顔ははっきりしなかったが男子職員もまじえた五、六人で、ふとんむしにしたM子さんを押えつけたこともわかった。このため萩原署から連絡をうけた湯浅署も、過失致死事件として改めて捜査することになり、十一日朝から関係者の取り調べを始める」
男性職員には家族も子供あるんだ、だから君たち女の子だけで罪を被ってくれないか---みたいな言葉で説得したんでしょうか。後味の悪いイヤな事件ですね。